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病床機能分化への対応(2)

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超高齢人口減少社会を迎えたわが国は、社会保障国民会議・社会保障改革国民会議が提案した2025年のあるべき医療提供体制の姿に向かって、2018年をめどに抜本的改革を行おうとしている。

急性期病床は急性期治療機能を遺憾なく発揮するために人員・機器・設備などを有し、生活圏を超えた広い圏域から患者が入院する病院である。

このような病院が機能を発揮するためには医療資源を集約・集中させる必要があると厚生労働省は考えている。厚生労働省が急性期病院としての整備を進めるために創設した7対1入院基本料を算定する病床は、厚生労働省の予測をはるかに超える357,569床に達しており、厚生労働省は7対1入院基本料を算定する病床の算定要件を厳しくすることにより、急性期病院が多い二次医療圏においては、病院ごとに診療特性を発揮して機能分化し、病院提携を構築することによりこの改革に対応できると思われる。

一方、病院数が決して多くない地域における基幹病院は地域のニーズに応えて、急性期医療を中心にしながら、急性期から在宅医療支援まで幅広い病期の多様で多彩な疾患を有する患者の治療を行ってきた。

その結果としてこのような基幹病院の病床数は多くなり、資源の集約化・集中化はできず、経営効率は決して良くないのが現実であろう。

このような地域基幹大病院が今後の医療提供体制の変革に適切な対応をするためには、自病院の病床機能の抜本的見直しや再編などのパラダイムシフトが必須となる。

社会保障プログラム法によれば、病床機能報告制度は2014年度に開始、地域医療ビジョンは2015年度に策定、2016年には現在の地域医療計画に必要病床数を書き込むとしており、病院が自己改革を行うことができる時間は極めて短い。

現在の自病院の病床機能をこの病床区分に当てはめた場合、急性期医療を行ってきた地方の基幹大病院の多くは、単一の病床区分の病床ではなく、様々な病床区分の病床を有しているものと思われる。

病院を単一の機能にするためには、ある区分の病床に絞った病棟のみの病院とするが妥当なのか?複数の病床区分を有する病院とするのか?など、地域の将来予想を見据えての判断もしなければならず、なかなか難しい選択をせまられる。

また、病院は入院機能を有するだけではなく外来機能や救急医療機能も有していることから、これら3つの機能をそれぞれ個別に考えて組み立てることも不可能ではないであろう。

しかし,急性期の入院機能を発揮するためには、それに応じた外来機能と緊急医療機能を有すべきであり、3つの機能をまったく別々に構築することはできない。

すなわち急性期入院機能を発揮しようとするならば、それに見合った外来機能と救急医療機能を有する必要があり、それらを総合した機能がその病院のトータルとしての病院機能ということになる。

厚生労働省は大病院の一般外来機能を制限することにより外来機能における病院ごとの機能分化を図ろうとしており、病院は外来機能においても適切な対応が迫られている。

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病床機能分化への対応

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超高齢人口減少社会を迎えたわが国は、社会保障国民会議・社会保障改革国民会議が提案した2025年のあるべき医療提供体制の姿に向かって、2018年をめどに抜本的改革を行おうとしている。

政府は病床区分上の一般病床において入院医療を提供している病院と病床の機能分化を図り、二次医療圏において効果的・効率的な急性期入院医療が行える体制を構築するとともに、生活圏域において激増する高齢者に特有な入院医療ニーズと増加する在宅医療に応じた適切な体制を構築することを目指している。

このため、政府は「持続可能な社会保障制度の確立を図るための改革の推進に関する法律案」を決議し、医療体制の改革を病床の機能分化・連携により推し進めようとしている。

これを実効あるものとするために、病床機能に関する情報を都道府県に報告する制度を創設するとともに、必要な病床の適切な区分の設定による都道府県による地域医療ビジョンの策定と、これを実現するための都道府県の役割の強化などの講ずるとしている。

さらにこの機能分化と提携を推進するための新たな財政支援制度を創設することと診療報酬による適切な評価を併せて行うとしている。

病床機能については、各病院が病棟ごとにその機能が高度急性期・急性期・回復期・慢性期のいずれに該当するかを自主的に判断して報告することになる。

これとほぼ同時に都道府県は厚生労働省が提示するガイドラインに沿って、二次医療圏ごとの必要量を定めた地域医療ビジョンを策定し、この必要量に向かって病床数を収斂させていくとしている。

この病床数の収斂策に呼応して病床転換や病院の統合・合併を行う場合には基金や援助金などの支援を行うとしており、「2025年のあるべき医療提供体制」に描かれた目標病床数を目指して機能分化を何としても成し遂げたいとする政府の強い意志が感じられる。

しかし、二次医療圏における病床機能ごとの必要病床数の算定に関する基本的な考え方や算定方法は明らかにされていない。

急性期病床は急性期治療機能を遺憾なく発揮するために人員・機器・設備などを有し、生活圏を超えた広い圏域から患者が入院する病院である。

このような病院が機能を発揮するためには医療資源を集約・集中させる必要があると厚生労働省は考えている。厚生労働省が急性期病院としての整備を進めるために創設した7対1入院基本料を算定する病床は、厚生労働省の予測をはるかに超える357,569床に達しており、厚生労働省は7対1入院基本料を算定する病床の算定要件を厳しくすることにより、急性期病院が多い二次医療圏においては、病院ごとに診療特性を発揮して機能分化し、病院提携を構築することによりこの改革に対応できると思われる。

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意思決定の単位 病院か法人かグループか

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今まで、病院はしばしば「意思決定主体としての企業」と同等のイメージで捉えられてきた。

ところが現実には、病院が地域におけるポジションや戦略をめぐる最終意思決定の主体ではないケースが増えつつあり、今後はもっと増加すると予想しても間違いではないだろう。

もちろん、病院はこれからも永遠に事業遂行の単位である。

しかし、病院が法人グループの中の一事業所だと見れば、メーカーで言えば大型工場に相当する。

工場長には管理責任はあるものの、企業経営の最高意思決定者ではなく、本社から提示された経営戦略に沿って生産を効率的にこなしていく責務を負うにとどまる。

工場長は、生産性向上や品質管理、ならびに労働衛生上の安全などには責任を持つが、いかなる製品をどの市場向けに作るかに関する意思決定は本社の経営陣の責務であって、通常は工場側にはない。

医療法人などの経営複合体内部で、例えば「急性期病院・リハビリテーション病院・療養病床・老人保健施設・サービス付き高齢者住宅、さらには関連社会福祉法人立特別養護老人ホームなどのどれを中に持ち、どれは外部と連携を図る」といった意思決定が行われる場合もあるだろう。

個別の病院にとって、医療安全や患者満足は病院管理者の責任に属するが、地域での展開や大きな設備投資の決定は本部の指示・示唆に従う姿かもしれない。

こうしたケースでは病院は業務遂行主体であって、経営戦略に関する最高意思決定主体ではない。

別な例では、営利企業系の病院が自社従業員とその家族を含む地域住民のために医療サービスを提供し、病院は収支均衡程度でよいと位置づけられる例も見られる。

その際の利益率目標に関する意思決定は病院が下すのではなく、本社の戦略の一環として定められているはずである。

一方、地域の要介護者の住宅を「病床」とみなして病院を「地域を支えるベースキャンプ」と位置づけ、地域全体にサービスを展開する戦略をとっているグループも存在する。

医薬品などの物品購入を個別病院の業務から外し、法人本部が一括して交渉する事例も一般化しつつある。これらについては全て、経営意思決の主体は病院ではなく法人ないし複合体である。

このように経営意思決定の主体が医療法人や複合体、独立行政法人などとなっているケースが増えている。法人・法人グループ・複合体などを経営上の意思決定主体とみなすモデルの構築と、それを踏まえたプロフェッショナル経営教育が求められる時代なのである。

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医療を取り囲む環境

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医療分野を取り囲む経営環境を確認する。

ここでの要素は国勢環境・経済環境・政治環境などが挙げられる。

言うまでもなく筆頭は、団塊世代の年齢上昇に伴う人口の年齢別構成の高齢化という国勢環境である。今後は外来需要が増えるものの、やがて彼らが80歳を超えると減少しはじめ、代わりに急性増悪的な入院が増える見通しと言われている。

医療保険財政面では、まず前期高齢者財政調整規模が急速に拡大し、その後後期高齢者医療制度加入者が急増する。

いずれもリスク構造調整再構築論に拍車をかけるだろう。

政治・経済環境については、わが国の家計の経済力格差が下方拡大しつつある傾向を指摘できる。

その結果、支払い能力に欠ける健康弱者(メンタルケアニーズを持つ人を含む)が拡大されることが予想される。

医療保険料を何とか負担できる人々の間でも、(上に記した高齢者増に伴う支援金・負担金増を別にすれば)協会けんぽの財政健全性維持が課題である。

これに対し、医療分野は、介護分野と並び、売上・雇用数(おそらく給与も)ともに安定成長が見込まれる。

当然、保険料負担者(個人・雇用主)、ひいては世間の納得を得続ける努力も経営者および団体の責務と言えよう。

以上とは別に、戦略レベルではなくテクニカルな側面が強いが、プロフェッショナル力が必要な課題として消費税関連を指摘しておこう。

消費税率上昇に伴い、医療機関が購入する財貨サービスに関わる税額が増えていく。

それに対する制度対応の行く末を、個々の医療関係者も業界全体としてもしっかり見すえ、有意義な提案を行うことも求められる。

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日本の医療保険政策

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3番目に日本の医療保険政策の一環としての特定健康診査・特定保健指導を見てみよう。

こちらも実は理念がよく分からない。

医療保険政策に取り入れられた際の具体的使命は,新自由主義の色彩が強かった経済財政諮問会議による「公的医療費総枠論」に対応することであったと理解することもできる。

期待された価値は長期的に見た生活習慣病関連医療費の上昇抑制だった。中核概念は,一般市民にまで(ただし多くの場合肥満の言い換えとして)広く普及した「メタボリック・シンドローム」である。

また政策論上の中核技術として,後期高齢者支援金の削減という強い金銭釣インセンティブも制度に組み込まれた。

団塊の世代が全員75歳を超える2025年を目標年として,わが国の高齢者ケア分野は明確な戦略を採択した。

そこでの理念は,「尊厳ある自立の支援」を最上位概念に「生活の継続・固別性尊重・自己能力活用」が加わった。

新たな戦略の中心的な便命は「地縁血縁の弱い(都会近郊)高齢者増への対応」である。

人口高齢化が早かった県では2015年以降,いまや高齢者の絶対数はさほど仲びないのに対し,関東・関西・中部の大きな都府県ではこれから75歳以上人口が急増していく。

新戦略が生み出すべき価値は,専門用語で「住み慣れた地域での在宅限界上昇」と表してよい。

もっと口言的な言葉で表現された期待される地域像は「ケア付きコミュニテイ」,そこで安心して年をとれる在り方は英語では「Ageing in Society」と呼ばれている。

これらは介護保険制度だけで作れるものではない。

そのために関係者が知恵を絞って到達した中核概念は,言うまでもなく「地域包括ケアシステム」である。

現在まさに発達途中の中核技術は,ケアの科学性と標準化,地域ケア会議、医療サービスとの連携・統合的提供体制,事業所の機能分析とそれに応じた報酬,定期巡回・随時対応型訪問介護看護および小規模多機能型居宅介護などと訪問看護の複合型,在宅生活を支えるリハビリテーション,生活支援サービスの工夫などが例として挙げられる。

以上の諸概念を(明示的に意識するかどうかは別として)利用し、自らの病院経営・法人経営を語れるか否かは、経営者のプロフェッショナルカの重要な要素と思われる。

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