医師の情報サイト:プロの病院経営 医療系コンサルタントが執筆しています。

意思決定の単位 病院か法人かグループか

main

今まで、病院はしばしば「意思決定主体としての企業」と同等のイメージで捉えられてきた。

ところが現実には、病院が地域におけるポジションや戦略をめぐる最終意思決定の主体ではないケースが増えつつあり、今後はもっと増加すると予想しても間違いではないだろう。

もちろん、病院はこれからも永遠に事業遂行の単位である。

しかし、病院が法人グループの中の一事業所だと見れば、メーカーで言えば大型工場に相当する。

工場長には管理責任はあるものの、企業経営の最高意思決定者ではなく、本社から提示された経営戦略に沿って生産を効率的にこなしていく責務を負うにとどまる。

工場長は、生産性向上や品質管理、ならびに労働衛生上の安全などには責任を持つが、いかなる製品をどの市場向けに作るかに関する意思決定は本社の経営陣の責務であって、通常は工場側にはない。

医療法人などの経営複合体内部で、例えば「急性期病院・リハビリテーション病院・療養病床・老人保健施設・サービス付き高齢者住宅、さらには関連社会福祉法人立特別養護老人ホームなどのどれを中に持ち、どれは外部と連携を図る」といった意思決定が行われる場合もあるだろう。

個別の病院にとって、医療安全や患者満足は病院管理者の責任に属するが、地域での展開や大きな設備投資の決定は本部の指示・示唆に従う姿かもしれない。

こうしたケースでは病院は業務遂行主体であって、経営戦略に関する最高意思決定主体ではない。

別な例では、営利企業系の病院が自社従業員とその家族を含む地域住民のために医療サービスを提供し、病院は収支均衡程度でよいと位置づけられる例も見られる。

その際の利益率目標に関する意思決定は病院が下すのではなく、本社の戦略の一環として定められているはずである。

一方、地域の要介護者の住宅を「病床」とみなして病院を「地域を支えるベースキャンプ」と位置づけ、地域全体にサービスを展開する戦略をとっているグループも存在する。

医薬品などの物品購入を個別病院の業務から外し、法人本部が一括して交渉する事例も一般化しつつある。これらについては全て、経営意思決の主体は病院ではなく法人ないし複合体である。

このように経営意思決定の主体が医療法人や複合体、独立行政法人などとなっているケースが増えている。法人・法人グループ・複合体などを経営上の意思決定主体とみなすモデルの構築と、それを踏まえたプロフェッショナル経営教育が求められる時代なのである。

医療系コンサルタント

Comments are closed.

Post Navigation