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病院経営に求められるプロフェッショナルな能力

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相澤病院の今後の取り組み

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二次医療圏と自院および相澤病院の歴史的経緯や現在提供している医療などから相澤病院は急性期機能を発揮する病院とし病床数を減じても特化すべきとする結論に至った。

一般市民から見た場合にも病院機能を絞り込んだほうが分かりやすいと考え、病床区分は高度急性期から急性期として入院機能を発揮し、外来は紹介患者を主として診療する専門外来機能に絞るとともに北米型ER機能と救命救急センター機能が一体となった救急医療機能を発揮することとした。

しかし、相澤病院がこれまで築いてきた地域医療支援病院としての病診連携機能とそれに係る病床は、ER型救急医療と相まって在宅医療やかかりつけ医を強力に支援してきた。

相澤病院の松本市における地理的位置を考えるとこの機能を投げ出すことはできない。

このため相澤病院の病床の一部を移転させて、新たに「相澤東病院」を創設することにした。

この病院には在宅医療を支援するための病診連携を中心とする急性期入院機能(ただし、救急患者は相澤病院ERを受診し、疾患と重症度を判断してから入院すべき病床を決めて入院する)と急性期治療後の在宅復帰や転院までの期間の治療や退院支援を行ういわゆる「回復期」機能、さらには在宅療養者の生活機能障害憎悪時におけるリハビリ施行による生活機能改善の機能を持たせるつもりとのことである。

在宅療養に関しては、あくまでも主治医は「かかりつけ医」として原則往診は行わず、かかりつけ医の支援としての往診はかかりつけ医の指示の下で行い、外来は紹介外来を基本とするが病院近隣の通院可能な患者に対する一般的診察は行う予定である。

相澤東病院は近隣地域の地域包括ケアの基幹病院として、または在宅医療支援拠点として、機能させたいと考えているとのことである。

医療系コンサルタント

相澤病院の状況

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厚生労働省が二次医療圏ごとの地域ビジョンを策定し、それに基づく地域医療計画により病床機能分化を測っていこうとしている以上、自病院が存在する二次医療圏の実態と今後の医療需要を把握することが経営戦略を把握することが重要である。

相澤病院が存在する松本二次医療圏の状況を述べる。

国際医療福祉大学の高橋泰教授の分析によれば、この病院がある松本二次医療圏は人口43万人、面積1,869平方k㎡、人口密度230人/平方k㎡である。「周辺から患者を数多く受け入れており、人口当たりの偏差値は49(一般病床54、療養病床43、精神病床50)、総医師数が61(病院勤務医数63、診療所医師数55)、総看護師数52、全身麻酔件数59と、急性期医療が充実しているが療養病床や回復期病床が少ない。2010年から2035年の総医療需要が2%増、0~64歳の医療需要が22%増、75歳以上の医療需要が30%増であることから、急性期病床の一部を積極的に後期高齢者に対応する療養病床や回復期病床に転換する必要がある」という提言がある。

経営戦略を決める上で重要なことは、自病院の等身大の姿をしっかり把握することである。

相澤病院の入院患者像をDPCデータで分析し、必要急性期病床数をおおよそ推移した結果を述べる。

このような値域基幹病院は、従来一般病床という病床区分の中で地域ニーズに応じた急性期入院医療を展開してきた。このため急性期患者ばかりで病床が埋められているわけではなく、急性期以外の患者も入院している。

そこで、当院における急性期患者の必要入院病床数を明らかにすることをDPCデータにより試みた。

急性期医療の定義は難しいが、急性期の期間をあえて定義するのであれば、入院医療を要するイベントの発生から状態が安定するまでの一定期間として考え、投入医療資源が症状安定後の資源投与より投与量が多い期間あるいはDPCにおける入院期間Ⅱまでとするのが妥当ではないかと思われる。

Global Health Consulting(以下GHC)が所有するDPCデータから、「手術なし症例」については、各DPCコードの入院期間Ⅲの平均資源投入金額を入院日から連続して超えている日数を急性期として定義し、また「手術あり症例」については、症例数が減り始め、症例数が90%になった時点までの日数を急性期と定義することで相澤病院のDPCデータと比較を行い、相澤病院に必要な急性期病床を試算してみた。

この想定に基づいてこの病院における入院患者の病期の分析をGHCに依頼して行った。

相澤病院が所有する2012年1月から2012年12月までの12,093症例より、相澤病院にて症例数の多い25のDPCコード(14桁)を抽出した場合、全症例の32.1%に当たる3,887症例が抽出される。

この3,887症例をGHCが所有しているDPCデータより計算した急性期日数に当て込むと、急性期延べ日数は29,900日となり、急性期に必要な総在院日数を抽出するため、「29,900日/32,1%」で計算を行うと93,023日となり、相澤病院にて必要な急性期病床数は255床(93,023日/365日)と試算される。

DPCでは14桁で構成される診断群分類が2,927コード存在するが、そのうち2,241コードに包括点数および入院期間が設定されている。

入院期間Ⅱ(50%タイル値)までの日数を急性期と定義し、相澤病院の急性期必要病床数を試算してみた。

相澤病院のDPCデータを用いて、「Σ(各DPCコードにおける期間Ⅱ×症例数)/365日」にて計算してみると、相澤病院にて必要な急性期必要病床数は、431床となる。ちなみにGHCが所有する665病院237,941床のDPCデータで計算した場合は153,523床(全病床数の64,6%となる)。

さらにこの数値を全国のDPC病院1,496病院、474,981床に換算した場合は306,465床64,5%となる(この計算方法は、比較的容易に計算できるが、急性期と思えないDPCコードが含まれること、また出来高DPCコードに対しては対象外となってしまうことが欠点に挙げられる)。

医療系コンサルタント

病床機能分化への対応(2)

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超高齢人口減少社会を迎えたわが国は、社会保障国民会議・社会保障改革国民会議が提案した2025年のあるべき医療提供体制の姿に向かって、2018年をめどに抜本的改革を行おうとしている。

急性期病床は急性期治療機能を遺憾なく発揮するために人員・機器・設備などを有し、生活圏を超えた広い圏域から患者が入院する病院である。

このような病院が機能を発揮するためには医療資源を集約・集中させる必要があると厚生労働省は考えている。厚生労働省が急性期病院としての整備を進めるために創設した7対1入院基本料を算定する病床は、厚生労働省の予測をはるかに超える357,569床に達しており、厚生労働省は7対1入院基本料を算定する病床の算定要件を厳しくすることにより、急性期病院が多い二次医療圏においては、病院ごとに診療特性を発揮して機能分化し、病院提携を構築することによりこの改革に対応できると思われる。

一方、病院数が決して多くない地域における基幹病院は地域のニーズに応えて、急性期医療を中心にしながら、急性期から在宅医療支援まで幅広い病期の多様で多彩な疾患を有する患者の治療を行ってきた。

その結果としてこのような基幹病院の病床数は多くなり、資源の集約化・集中化はできず、経営効率は決して良くないのが現実であろう。

このような地域基幹大病院が今後の医療提供体制の変革に適切な対応をするためには、自病院の病床機能の抜本的見直しや再編などのパラダイムシフトが必須となる。

社会保障プログラム法によれば、病床機能報告制度は2014年度に開始、地域医療ビジョンは2015年度に策定、2016年には現在の地域医療計画に必要病床数を書き込むとしており、病院が自己改革を行うことができる時間は極めて短い。

現在の自病院の病床機能をこの病床区分に当てはめた場合、急性期医療を行ってきた地方の基幹大病院の多くは、単一の病床区分の病床ではなく、様々な病床区分の病床を有しているものと思われる。

病院を単一の機能にするためには、ある区分の病床に絞った病棟のみの病院とするが妥当なのか?複数の病床区分を有する病院とするのか?など、地域の将来予想を見据えての判断もしなければならず、なかなか難しい選択をせまられる。

また、病院は入院機能を有するだけではなく外来機能や救急医療機能も有していることから、これら3つの機能をそれぞれ個別に考えて組み立てることも不可能ではないであろう。

しかし,急性期の入院機能を発揮するためには、それに応じた外来機能と緊急医療機能を有すべきであり、3つの機能をまったく別々に構築することはできない。

すなわち急性期入院機能を発揮しようとするならば、それに見合った外来機能と救急医療機能を有する必要があり、それらを総合した機能がその病院のトータルとしての病院機能ということになる。

厚生労働省は大病院の一般外来機能を制限することにより外来機能における病院ごとの機能分化を図ろうとしており、病院は外来機能においても適切な対応が迫られている。

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